2004パシフィック・リーグ プレーオフ第1ステージ VS北海道日本ハムファイターズ 第1戦

10月1日・金曜日。シーズンが9月24日の大阪近鉄のホーム・大阪ドームでのラストゲームで終わってから1週間。いよいよ、プレーオフへ突入。すべてが初めての経験のため、いろいろとわからないことも多い。ただ、感じたのは、いつもよりもお客さんが少し多い(それでも内野自由エリアには空席が見えているわけだが)。そんなところか。

対戦相手は最後の最後、9月28日の133試合目に勝利し、千葉ロッテとの激しいつばぜり合いを制して、勢いに乗って所沢に乗り込んできた、北海道日本ハム。ゲーム差が大きく開いたために、確実に実力上位ではあるものの、短期決戦は勢いで何があるかはわからない。ただ、何があろうと絶対に負けるわけがない。データ上も所沢での3連戦はすべて、勝ち越している。安心ができるわけではないものの、気持ちに余裕を持って、史上初の戦いへ。


両チームのスターティングラインアップ。

先攻のファイターズ
1番センターSHINJO、2番セカンド木元邦之、3番サード小笠原道大、4番DHフェルナンド・セギノール、5番ファースト小田智之、6番キャッチャー高橋信二、7番ライト坪井智哉、8番レフト島田一輝、9番ショート金子誠。先発ピッチャーは日本ハムのエース・金村暁。4番のセギノールは今年のHR王。そして、何よりも警戒すべきは後半戦の大爆進の立役者・SHINJO。この選手を乗せてしまうとチーム全体が波に乗る。ここをいかに抑えるかが勝負の決め手。

後攻のライオンズ
1番ライト佐藤友亮、2番センター赤田将吾、3番DH貝塚政秀、4番ファースト、アレックス・カブレラ、5番レフト和田一浩、6番サードホセ・フェルナンデス、7番ショート中島裕之、8番キャッチャー細川亨、9番セカンド高木浩之。先発ピッチャーは大事な場面での完封が目立ち、2年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得するなど大活躍したエース・松坂大輔。3番の貝塚得点圏打率1位。4・5・6番は不動のクリーンアップ。7番の中島は今年リーグ唯一のフルイニング出場を果たし、松井の穴埋めを果たした。8番の細川は野田との争いを制した。まず、ラインアップを見た途端の感想は「完全なベストオーダー」。自信を持って戦いへと向かう。


試合開始前に始球式。

今年行われたアテネオリンピックの柔道100Kg超級の金メダリスト、鈴木桂治が登場。金メダリストが始球式に登場すると優勝するなんて、ジンクスがあったな。なんて思いつつ、松坂の投球練習が終わり、試合開始。


1回表、いきなり注目の対決、松坂vsSHINJO。初球を打ってショートゴロ。あっさりと抑える。2番・木元は三球空振り三振。そして3番の小笠原へ。変化球で空振り三振を奪い、三者凡退の完璧な立ち上がり。

1回裏、対するファイターズの先発は金村。先頭の中盤以降右打ちのうまい1番打者として定着した佐藤はセカンドフライ。2番は走・攻・守3拍子そろい、初の規定打席到達の赤田。ショートゴロも名手・金子のエラーでランナー1塁。3番は序盤にカブレラの穴を埋めるファースト・カブレラ帰還後はDHとして、勝負強い打撃を見せた貝塚貝塚の打球はライトへの大きな当たり。
フェンスダイレクトで先制か?というところも、ライト・坪井がナイスキャッチ。ヒットと思い込んでいた赤田は3塁まで走り、1塁転送で3アウトチェンジ。結果無得点。これがプレーオフだなとつくづく実感。

2回表、先頭のセギノールのセカンドゴロはランニングスローでアウト。高木がファインプレーを見せる。続く小田はレフトフライ。高橋信二はセカンドゴロで続けての三者凡退。

2回裏、先頭打者はOP戦で骨折をしてから、シーズン半ばに復帰。70試合弱で25本と大爆発のカブレラ。しかし、打ち上げてキャッチャーファウルフライ。5番はアテネ五輪キューバ戦のHRから大爆発。シーズン30本に到達した和田。崩されてサードゴロ。6番は千葉ロッテから移籍し、2年連続30発の大台に乗せたフェルナンデス。2-3からのフォアボールで出塁。7番はリーグ唯一のフルイニング出場を果たした中島。レフト前ヒット。両チーム通じて初安打で、2アウト1・2塁。8番は野田との争いを制して先発マスクを獲得、4月には札幌でサイクルヒットなど、日本ハムには相性のよい、細川。打ち上げてレフトフライで2者残塁でチェンジ。

3回表、先頭の坪井は空振り三振で1アウト。島田も空振り三振。金子も空振り三振。何とこの回は三者三振で3アウト。

3回裏、9番打者として、守備に打撃に渋い活躍が光る高木。インサイドの球にデッドボール。先頭打者が両チームを通じて初出塁。続く佐藤もデッドボール。予期せぬもらったチャンスで、ノーアウト1・2塁。2番の赤田はバントの構えも金村が動揺してかストレートのフォアボール。ノーヒットでノーアウト満塁に。このチャンスで得点圏打率リーグNo.1の貝塚登場もセカンドゴロでホームフォースアウト。依然満塁で、4番・カブレラ

1-1からの2球目。カブレラの打球は左中間を破っていく!!!
3塁走者・2塁走者と順々にホームイン。そして、深々と破っていったので、1塁ランナーも貝塚もホームインし、大きな3点を4番の一振りで先制。

続く和田も外角に外れてフォアボール。1アウト1・2塁に。ここで、フェルナンデスの大きなセンターへのフライはフェンス間際で失速し、SHINJOがキャッチ。深かったために、2塁ランナーカブレラは三進。中島はライトへ大きなあたりもライトフライでチェンジ。

3イニング連続三者凡退の松坂の調子を考えれば、もう充分だろうと思えるぐらいの大きな3点を先制。

4回表、先頭はSHINJO。センターへ返した打球が二遊間を転がり、ヒットに。これが日ハムの初ランナー。いやな選手を出したと思いつつ、木元への投球。一二塁間を破ってライト前ヒット。SHINJOのナイスランでノーアウト1・3塁のピンチを背負う。


3番の小笠原への初球、何とバット一閃。こっちにボールが飛んでくる…。「あ〜〜」

ボールは無情にもライトスタンドへ。3点を先制してすぐに同点に追いつかれる。

セギノールは空振り三振に斬ってとるも、小田にはフォアボールを与える。しかし、高橋はセカンドゴロゲッツーで3アウト。同点に追いつかれるも、何とかその後の失点は防いだ。


同点となった後の4回裏の攻撃、先頭は細川。初球を打ち上げてセカンドフライ。高木もセンターフライで2アウト。佐藤もファーストファウルフライで三者凡退。先ほどの回も相まっていやな流れになってきたか…

5回表、先頭は坪井。三球三振で1アウト。島田はセカンドの頭上を越えるセンター前ヒットで1アウト1塁。しかし、金子の難しいサードゴロはフェルナンデスがうまくさばいてゲッツー。これでチェンジ。

5回裏、先頭の赤田はピッチャーゴロ、貝塚はフォアボールで1アウト1塁。カブレラにはこの試合3つ目のデッドボールでランナー1・2塁に。しかし、和田はショートゴロのゲッツーに倒れて、チャンス生かせず、チェンジ。

前半を終わって、3-3。まったくわからぬ展開に。

6回表、先頭のSHINJOを松坂が三球三振に斬ってとる。木元も空振り三振で2アウト。先ほどHRを打たれた小笠原はセンターフライに打ち取り、三者凡退。

6回裏、先頭はフェルナンデス。先ほどの打席、大きなセンターフライを放っている。

0-2からの3球目。振りぬいた打球が先ほどと同じく、センター方向に。しかし、今度はグングンと伸びていく。
ボールはセンターバックスクリーンに飛び込んだ!!これで、1点勝ち越し。
続く中島も初球にセンターへ大きな当たりを放ち、続いていった!と思ったものの、フェンスに張り付いて、SHINJOがキャッチ。1アウト。続く細川はいつものように空振り三振。高木はショートへのハーフライナーで3アウトチェンジ。
フェルナンデスが悪い流れを一発で払拭し、再び勝ち越して、残り3イニングへ。

7回表、先頭はセギノール
この試合いけるかと思ってボーっと観ていた、0-1からの2球目。何とセギノールのライナー性の速い打球がライトスタンドへ。一振りで突き放したものの、再び一振りで追いつかれる悪循環。
続く、小田はショートゴロで1アウト。高橋はピッチャーゴロに抑えて2アウト。坪井は空振り三振で3アウト。追いつかれたものの、その後の逆転は許さず。同点で、裏の攻撃へ。

7回裏、先頭は佐藤。マウンドには依然金村が立つ。
佐藤が上げた打球はセンターへ、スタンドはセンターフライかな?と静かもボールはグングン伸びていくものの、SHINJOがフェンスに登っている。取られる!!と思うも、何と打球はバックスクリーンへ。シーズン2HRの1番打者に勝ち越しアーチが生まれるという予想外の展開に。
ここで、ファイターズのピッチャーは金村からセットアップ右腕・井場友和にリレー。
続いてのバッターは赤田。2-2から追い込まれるもフォアボールを選んで、ノーアウト1塁。続く貝塚の打順で赤田が盗塁成功、貝塚は三振に倒れて1アウト2塁。ここで大砲トリオ・まずはカブレラへ。カブレラは警戒してか、座ったままではあるものの、外角へ4つ投げて敬遠。ランナーは1・2塁。続く和田の2球目、ワイルドピッチとなり、ランナーはそれぞれ二進・三進で、チャンス拡大。1-3となって、バッテリーはボールを投げて、先ほどの打席にHRを放った、フェルナンデスとの勝負を選択。

初球はボール、2球目は豪快な空振りでカウントは1-1。3球目は1塁線にファウルで追いこまれる。4球目もファウル。迎えた5球目。

フェルナンデスが強烈な打球を右中間へ。上がった瞬間に、もう確信。

ライトスタンドへ飛び込み、スタンドは一気に沸く。周りの人ともみくちゃにされながら喜びを分かち合う。


フェルナンデスの一発は大きな、大きな、大きな追加点のグランドスラムに。
これで、9-4。

ほぼ、第1戦の勝利を確信。

この1発で、ファイターズは最多ホールド投手・建山義紀をマウンドに送る。


ここで中島は空振り三振となり、2アウトで細川。
初球を振りぬいて、当たったときの細川らしく大きな当たりがレフトへ。完璧といわんばかりの打球はスタンドへ飛び込んで、予想外のところから、さらに追加点。
高木は空振り三振で3アウト。


この回、何と3発のHRが飛び出し、一挙に6点を勝ち越し。さすがに6点は追いつかれることはないだろう。さぁ、頼んだ、松坂。


8回表、レフトには和田に代わって高波文一が入る。マウンドにはもちろん松坂。しかし、先頭打者の島田にフォアボールを与えるという、いやな感じ。ここで、金子に代わって、代打にはシーズン途中に戻ってきて、そこそこ打ったシャーマン・オバンドーが登場。オバンドーの打球はセンター前にフラフラっと上がって、センター前にポトリ。おいおい……。ノーアウト1・2塁でSHINJOを迎え、2-3から延々と粘られる。その結果、フォアボールを与えてしまい、ノーアウト満塁。
続く木元への0-1からの2球目、木元が放った打球は右中間ちょうどまん真ん中を破っていていく……。

1塁からSHINJOも一気に生還。タイムリー2ベース。これで、3点を返されて10-7。
おい、まさか追いつかれんのか?6点差でも。

松坂はここで完全にKO。小笠原を迎える打順で、2人目、今年からサイドスローに転向し、各球団の主力の左打者をキリキリ舞いにした、チーム最多登板の左腕投手・星野智樹が登板。

バッターはその星野を大の苦手にしている、小笠原。ランナー2塁の上に、アウトカウントはゼロ。この窮地に、星野は小笠原を完璧な投球で空振り三振。続くセギノールもサードゴロに抑え、2アウト。そして、小田の打順で登場した代打・ベテランの田中幸雄もセカンドゴロに打ち取り、星野が見事な火消し。3点差で、あと1イニングを迎えることに。リードで9回。もちろん登場はあの男である…。


8回裏、ファイターズは代打のオバンドーがファースト、田中に代わって古城茂幸が入り、ショートへ。ピッチャーは建山に代わって、シーズン中は先発として投げてきた移籍組・入来祐作が登板。先頭バッターの佐藤はショートゴロで1アウト。赤田もショートゴロ。貝塚は見逃し三振。入来の気迫の前に三者凡退。


9回裏、少ないリードで、9回のピッチャー。もちろんこの男、守護神・豊田清が登場。今年は万全の体調でなく、フルシーズン登板というわけではなかったものの、防御率0点台という脅威の記録を誇る。

マウンドの後ろで、いつもの儀式を終え、いざファイターズ打線の前に立ちはだかる。

先頭は高橋。空振り三振に抑えて、1アウト。3三振精彩を欠いた7番坪井の打順に代打・エンジェル・エチェバリアが登場し、初球打ち、サードゴロかなと思うも、ベース直撃で内野安打に。若干、不穏な空気が…。しかし、続く島田は空振り三振で2アウト。ここで、バッターはオバンドー。最後はショートゴロで中島が直接2塁ベースを踏み、3アウト。

ゲームセット。派手な打ち合いは10-7というスコアで、無事に先勝。


もちろん、ヒーローはグランドスラムを含め、2アーチのホセ・フェルナンデス
この球場のインタビューはこもって聞こえないので略。


松坂の出来が非常に心配ではあったものの、このシリーズ、キーとなる打線が大爆発(とはいえ、相手のフォアボールの多さもあるんだが)しての先勝。

苦しまずにもう、明日勝って福岡へ向かいたい。3戦まで行けば、チームも潤うよな、とかは少しは思ったものの、それはシャットアウトして、とにかく早く、福岡へ。

明日決める。



そう思って、家路につくことに。